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胆江日日新聞
pickup : 気軽に醍醐味 魅力広く 岩手の蘇民祭 継承へ県内11保存団体連携、初の体験イベント 子どもも争奪戦に挑戦(水沢・黒石寺)
投稿者 : tanko 投稿日時: 2017-12-04 09:45:25 (227 ヒット)

 五穀豊穣を祈る伝統行事「蘇民祭」を体験してもらうイベントが3日、水沢区黒石町の黒石寺(藤波洋香住職)で開かれた。祭り参加者の減少など課題に直面している各地の保存団体が連携し、祭りの魅力と醍醐味を広くアピールしようと初めて企画。同寺の蘇民祭は本来、厳寒の真夜中から明け方まで行われるが、参加経験のない大人や子どもでも気軽に体験できるよう、簡略化したメニューを用意した。蘇民袋争奪戦では本番さながらの白熱した奪い合いが繰り広げられ、見物客を楽しませた。

 「興味津々・蘇民祭!! 子供ちょこっと体験&大人まじ体験in黒石寺」と銘打ち、県内11の蘇民祭保存団体で構成する「岩手の蘇民祭保存会」(高橋君夫会長)が主催。県教育委員会や胆江日日新聞社などが後援した。県の補助制度「いわて若者アイディア実現補助事業」に応募し、採択された。
 体験には県内外の大人22人、子ども8人が参加。藤波住職による蘇民祭の講話に続き、下帯姿に着替えた参加者たちは境内を練り歩く「夏参り」に挑んだ。
 本番の夏参りは境内を3周するが、この日はお試しとあって1周のみ。真夜中の雪景色ではなく、色づいた木々の葉が残る日中の境内に「ジャッソー、ジョヤサ」の掛け声が響き渡った。途中、境内下の山内川で身を清める水ごりも行われ、子どもたちも果敢に挑戦。周囲から「よくやった」「さすがだ」と声援や拍手が送られた。
 蘇民袋争奪戦は子どもの部、大人の部に分かれて展開。蘇民袋の中には、御利益のある小間木(こまぎ)が入っているが、今回は各地の蘇民祭の小間木をミックスした特別版が用意された。
 子どもの部で、取り主になった市立岩谷堂小5年の菊池颯太君(11)は、寒さに体を震わせながらも「初めて体験したけれど、1位になってうれしい。大人になったら祭りに出てみたい」と笑顔。大人の部の取り主は、地元黒石町の石川良文さん(38)だった。
 名古屋市から参加した会社員の中村茂信さん(42)は「黒石寺蘇民祭自体は以前から知っていたが、遠いことや祭りの内容がハードで敷居の高さを感じていた。これを機に参加してみたい」と話していた。
 藤波住職は「冬の夜の本番では来られないような、県外の方や子どもを連れたお母さんたちの姿も多く、思いのほか盛り上がった。保存会の皆さんの努力があったからこそでは」とたたえた。
 県内の蘇民祭は一部を除き、男衆が真冬に下帯姿となって伝統儀式に臨む荒々しさが特徴。黒石寺のように夜を徹して行う例もある。“奇祭”として祭りファンの心をつかんでいる一方、真冬の夜という開催日程が気軽な参加や見物の支障に。祭り参加者の減少傾向に加え、少子高齢化による運営側の後継者不足も深刻となっている。
 蘇民祭のユネスコ無形文化遺産登録も目指している同保存会。高橋会長は「参加者が減っている開催地もあるので、何とかして宣伝しなくてはいけない。いろいろ課題もあるが、今後もイベントを続けていきたい。子どもたちも含め、一人でも多く興味を持ってもらえたら」と期待した。
写真=「子どもの部」で取り主になった菊池颯太君(前列左)


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