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胆江日日新聞
pickup : 明治・大正期に発刊 幻の雑誌「台湾愛国婦人」 斎藤實記念館所蔵の36冊 現存は国内唯一「新発見」 金沢大上田教授らが確認 近代文学研究 貴重な資料(水沢)
投稿者 : tanko 投稿日時: 2018-08-23 09:31:05 (350 ヒット)

 金沢大学名誉教授の上田正行氏ら近代文学研究者が、水沢吉小路の市立斎藤實記念館(安倍初雄館長)に明治・大正期に発行された幻の雑誌「台湾愛国婦人」が国内最多となる55冊所蔵されていることを確認した。同誌を長年研究してきた上田氏によると、確認された55冊のうち36冊が日本国内で唯一現存するもので、「新発見」に値するという。当時活躍していた伊藤左千夫などの作家や与謝野晶子といった歌人の作品を掲載しており、特に泉鏡花は同誌が初出となる作品もあり貴重。安倍館長は「近代文学研究にとって非常に貴重なものと聞き、本当に驚いている。これらの雑誌が所蔵されているのは婦人会活動に熱心だった春子夫人とのつながりも考えられる」と推察する。

 同誌は日本統治下の台湾総督府内にあった愛国婦人会台湾支部の支部報として1908(明治41)年以前に発刊。翌年1月に「台湾愛国夫人」と改称し、16(大正3)年3月までに88冊を刊行した。
 内容は当時一流の作家らによる小説や詩歌、論文、特集記事などで、総合雑誌に分類される。挿絵も石井柏亭(はくてい)ら人気画家が担当した高級誌。また台湾に暮らす人々から投稿された漢文も多く掲載されており、当時の文治政策を反映した内容だったことがうかがえる。
 同誌は国立国会図書館にも所蔵されておらず、現在確認されているのは函館市中央図書館や伊藤左千夫記念館=千葉県山武市=など国内6カ所の公共機関と台湾中央図書館、個人所有の数冊。いずれも全巻そろっている施設はない。
 同記念館を訪れたのは上田氏、同志社大学文学部教授の田中励儀(れいぎ)氏、広島大学大学院准教授の下岡友加氏ら5人。23日までの日程で調査を実施した。
 調査の結果、斎藤記念館が国内最多となる55冊を所蔵しており、うち36冊がこれまで未確認のものだった。上田氏は「これまで最多だった函館市中央図書館の所蔵が62ー88巻の27冊で、斎藤記念館のは7ー65巻のうちの55冊。これまでに確認されていなかった大部分のもので、近代文学研究にとっても非常に貴重だ。状態も良く美品で素晴らしい」と評価する。
 泉鏡花研究を専門とする田中氏は「戯曲『銀杏の下』などの作品の初出がこの雑誌。実際に載っているのを見ることができてうれしい。著名人が各地の名物について語っているのをまとめた特集記事も載っているが、鏡花が一番先になっているのも面白い。この雑誌で鏡花をどう捉えていたかが分かる」と笑顔を見せる。
 安倍館長は「近代文学にとって貴重な資料が当館にあったと知り、大変驚いている。多方面において役立つ資料が残るのも、東京の斎藤家にあったあらゆる図書や文書を春子夫人が水沢に疎開させたから。今後もさまざまな研究に役立つよう、資料を管理していきたい」と話した。
写真=斎藤實記念館で、国内唯一の所蔵となる36冊を含む55冊の「台湾愛国婦人」を調査する上田正行氏(右から2人目)、田中励儀氏(右)ら


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