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胆江日日新聞
pickup : 高齢化社会に勇気 観客魅了 笑いに涙 「でんでら国」盛況(金ケ崎町民劇場)
投稿者 : tanko 投稿日時: 2019-10-07 09:40:42 (191 ヒット)

 第11回金ケ崎町民劇場「でんでら国〜ワシらは捨てられたのではない、ここで生き直すのだ〜」が6日、町中央生涯教育センターで上演された。同町在住の作家、平谷美樹さん(59)の同名小説を原作に脚本を制作。姥捨ての習わしがある江戸末期の農村で繰り広げられる農民と役人の知恵比べをコミカルに描いた。高齢化が著しい現代に通じるテーマも軽やかに織り交ぜ、観客を魅了した。

 午前と午後の計2回上演し、住民ら計448人が来場。節目の公演だった前回を165人上回るほど盛況だった。
 脚本は、町民大学シナリオ講座の受講者でつくる「チーム*あすたりすく」の6人が共同制作。幼児から80代まで幅広い世代の35人が6月から稽古を重ね、本番で熱演を披露した。
 物語は、架空の外館藩大平村が舞台。60歳になると食いぶちを減らすために家族と別れ、「でんでら国」で暮らす風習があったという。同村は飢饉に見舞われても年貢米を納めるため、代官所は農民が「隠し田」を持っていると疑う。真実を隠す住民と、暴こうとする役人のやりとりをユーモアを交えて描いた。
 面白おかしいだけではなく、地域で急速に進む高齢化問題も投影。「お互いさまだ」「人生で今が一番楽しい」「前だけを見て生きていこう」などと奥深そうなせりふも随所に盛り込まれ、感極まって目頭を押さえる観客もいた。
 でんでら国住民の善兵衛役で主演した村井幹啓さん(52)=同町六原頭無=は、「年齢に関係なく前向きな気持ちで過ごせれば、一人一人の心にでんでら国は生まれるはず。そのきっかけになればと願いつつ、皆で協力して舞台をつくり上げた」と充実した表情を浮かべていた。
 初回から毎回演出を務める小原優子さん(66)=同町西根鑓水=は、「思いがけない場面で拍手や笑いがわき起こるのが町民劇の醍醐味の一つ。出演者は気持ちを高めながら楽しんで演じてくれた」と熱演をたたえた。
 町民劇場実行委の板宮成悦委員長(70)は「お客さんの多さが何よりの喜び。皆が誠実な気持ちで一つの舞台をつくりあげたからこそ成功できた」と笑顔。及川利文副委員長(67)も「本番で一人一人が稽古以上に力を発揮できた」と喜んだ。
 毎年欠かさず来場している同町六原東町の太田光さん(73)は、「劇で描かれた高齢者問題は現代にも通じていて面白かった。前向きな気持ちになれた」と話していた。
 同劇場は、生涯教育30年記念事業の一環として09(平成21)年度に始まった。6回目までは民話や偉人、歴史など町内6生活圏からテーマを得て制作。7回公演以降は金ケ崎にかかわるテーマで制作しており、脚本家の育成など町民が主体となった舞台芸術の底上げや地域振興に努めている。
写真上=住民らの熱演で観客を魅了した第11回金ケ崎町民劇場
写真下=カーテンコールで出演者と観客から拍手で迎えられる演出の小原優子さん


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