市と市文化振興財団による「ウクライナ支援チャリティー事業・加藤登紀子コンサート2023」は18日、水沢佐倉河の市文化会館(Zホール)で行われた。洋野町に避難しているウクライナ人親子を招き、ウクライナの現状や日本での生活を紹介。平和のありがたさを考えるとともに一日も早くウクライナに安寧が戻ることを願う場とした。会場では募金活動も展開した。
市のウクライナ支援事業と同財団・会館の30周年記念事業に位置付け。市民ら約1000人が来場した。開会に当たり倉成淳市長は「ロシアによるウクライナへの侵攻から1年がたったが、終息は見えず人類にとっての試練が継続している。ウクライナの状況を直接聞くことで、少しでも早い解決を願うとともに平和の大切さを思う場としてほしい」とあいさつした。
コンサートに先立ち、昨年4月に洋野町に避難したロハチョーバ・レーナさん(47)と息子のウエノ・セミョン君(8)、ウエノ・マクシム君(8)が登壇。ウクライナの現状や、同町に来てからの生活を写真や動画で紹介した。
夫と長男は現在もウクライナで生活。レーナさんら3人は侵攻が始まって間もなく、隣国ポーランドへ避難。国境を超える手続きには4時間以上かかり、子どもたちの心に大きな負担がかかったという。夫の父が同町生まれという縁があり、日本へと逃れてきた。
同町に来てからは「知らない人が訪ねてきて声をかけてくれたり、支援をしてくれたり。人々の温かさに本当に救われた。子どもたちの心も安定し、感謝の言葉が尽きない」とレーナさん。セミョン君とマクシム君は現在、同町内の小学校に通っており、日本語でのコミュニケーションもとれるようになってきたという。
侵攻によって破壊された学校や住宅などの写真を、息を飲んで見つめていた来場者たち。同町に来てから、田植えや稲刈りを初めて体験したという子どもたちの写真が映し出されると、マスク越しに笑顔を浮かべていた。
「ウクライナでは毎日人々が傷付き、私の知人にも亡くなった人がいる。そうした事実を忘れずに、どうか日本の平和のありがたさを大切に思ってほしい」と語りかけたレーナさん。最後は3人で日本語で「ありがとうございます」と告げ、会場からは惜しみない拍手が送られた。
その後、加藤さんと縁があるという市出身の政治家・後藤新平の功績に関する映像の上映が行われ、コンサートが開催された。
写真=ウクライナの現状や洋野町での生活について語ったロハチョーバ・レーナさん(右)と家族
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