NPO法人青少年未来プロジェクト(本部江刺岩谷堂、菅原正堯理事長)が、水沢南地区センターで開催していた「おうしゅう無料塾・水曜の部」は13日夜、好評のうちに全日程を終了した。子ども食堂の実施団体と連携協定を結び、軽食も無料提供。学習に意欲的に取り組める環境を提供したことで、成績の向上に結びついたという児童生徒もいた。菅原理事長(40)は、同様の支援の輪がさらに広がることを期待している。
同NPOは、学習支援やキャリア教育など子どもの健全育成に関する事業を展開しながら、まちづくりに関心を持ってもらえる機会を創出。地域の将来を担う人材の育成につながる取り組みを進めている。
無料塾は主要事業の一つ。さまざまな理由で学習塾に通えなかったり、家庭での学習が思うように進まないといった児童生徒を支援しようと、市内数カ所で実施している。
水沢南地区センターで7月19日から今月13日まで実施した無料塾では、同センターで子ども食堂を開設している「みなはじ実行委員会」(伊藤千恵代表)と連携。学習時間の途中で、提供する軽食の準備を担当した。運営経費の一部に、市の本年度市民提案型共同支援事業補助金を充てた。
放課後の時間帯を利用した自主学習の場として設けた無料塾だが、開設時間(午後5時半ー同8時半)はちょうど一般家庭の夕食時に重なる。菅原理事長は「塾が始まる時間は、まだ親御さんたちが帰宅していない可能性があり、夕食を食べないまま来ることが想定された。空腹のまま勉強を続けていてもはかどらない。軽い食事を提供するだけで、意外とやる気が出てくる。勉強をさせるのではなく、勉強しやすい環境を提供することが大事だと考えた」と語る。
全8回の開催で、小中高生延べ70人が参加。学習サポートや食事の準備などに33人の大人が携わった。
開催最終日には、クレープやオムライスなどが提供された。1時間余り学習に集中していた子どもたちは、食事を取ってリラックス。後半の学習に備えた。
市立水沢南中2年の菅原こころさん(14)は「下のきょうだいがいるので、家ではなかなか集中できないが、無料塾では宿題がとてもはかどる。食事もおいしいし、成績も上がった。また参加してみたい」と笑顔で話していた。
「家庭学習とは言うものの、家の中は集中できない要素が多い」と菅原理事長。「同じような取り組みをさまざまな団体で実施することで、より多くの子どもたちの学びの支援ができるはず」と、活動の広がりに期待を込めていた。
写真=菅原正堯理事長(左)や伊藤千恵代表(右)から軽食の提供を受ける無料塾利用の生徒たち
岩手県奥州市、金ケ崎町の地域紙。第2回ふるさと新聞アワード(2022)グランプリ & Googleアワード受賞。

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