江刺の県立岩谷堂高校(山影稔男校長)の1年生4人は5日、水沢大手町の市役所本庁1階ロビーで、同校の先輩が開発を手がけたリゾットの缶詰を販売した。県内33市町村を巡る販売促進プロジェクトの第1弾で、用意した144個が早々と完売。来庁者と交流しながら缶詰の魅力をPRし、備蓄食の大切さを伝える意義も確認した。
この缶詰は昨年夏、今春卒業した菊池将矢さん、矢嶋大起さん、立野正悟さんが卒業研究として岩手缶詰(釜石市)と共同で開発。▽トマト▽コンソメ▽中華風ーーの3種類があり、1缶275グラムを500円で販売している。
同校の農場で生産された「ひとめぼれ」の玄米を加工し、「災害時でも加熱を必要とせず、おいしく食べられる備蓄食品」をコンセプトに完成。普段の食事でも楽しめるよう、味付けなどに工夫を凝らした。
3年生3人は卒業前、1年の遠藤月奈さん、菊池聖良さん、菊池夢佳さん、伊藤綾那さんに缶詰の販売を託した。
遠藤さんら4人は「総合的な探究の時間」などを活用し、備蓄食の普及を目指すプロジェクトとして県内全域で販促を進める計画。地域行事の会場や商業施設などの一角で販売しながら、商品の魅力を直接伝えていく。
岩手缶詰が6000個を製造。同校生徒が運営する模擬株式会社・凛堂(村上結海社長)が必要な分を仕入れ、「岩高ショップ」などでも販売する。
1年生4人は5日、リンゴのジュースやジャム、レトルトカレーなどを売る凛堂の2年生4人と共に缶詰を販売。丁寧な物腰で、市民らとの会話も楽しんだ。今回の売り上げの一部は、能登半島地震の義援金として被災地に送るという。
菊池聖良さんは「地元の皆さんとのコミュニケーションがとても楽しい」と笑顔。「先輩たちがいろいろと考えて作ってくれた缶詰の良さを伝えたい。災害に備え、備蓄食を持つことの大切さも広められたら」と意欲を語る。
4人を指導する同校の佐藤将太教諭(39)は「地元を離れてからの販売はより難しくなる。古里の良さを積極的に伝えながら、他地域でも交流を深めてほしい」とエールを送る。
写真=来庁者(右)にリゾットの缶詰を販売する岩谷堂高校の1年生たち
岩手県奥州市、金ケ崎町の地域紙。第2回ふるさと新聞アワード(2022)グランプリ & Googleアワード受賞。
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