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胆江日日新聞
pickup : 物語問う「真の平和」 後藤新平が構想のミュージカル 110年余り経て初上演 都内で来月(内幸町ホール)
投稿者 : tanko 投稿日時: 2024-04-17 09:40:38 (256 ヒット)

 水沢出身の政治家、後藤新平(1857―1929)構想のミュージカル(劇曲)『平和』が5月31日、東京都千代田区の内幸町ホールで初上演される。第1次世界大戦へと突入しようとしていた1912年、真の世界平和を問う物語として完成したが、未上演のまま現在に至る。現在、世界のあちらこちらで武力紛争が起きており、日本周辺においても緊張が高まる要素が潜む。政治家が考えたミュージカルという特異な作品を通じ、真の平和を考える機会を提供する。

 後藤の顕彰団体、後藤新平の会と、同会事務局で後藤に関する書籍を刊行している藤原書店=東京都新宿区=が主催。毎年恒例の「後藤新平賞」授賞式やシンポジウムに合わせ上演する。
 同作が生み出された当時、世界情勢は混沌としていた。万国平和会議の開催で世界平和維持を試みたものの、各国の利害が複雑に絡み合い、第1次世界大戦へと突き進むことになる。後藤はこの状況を「鎧を着けた平和」と喝破。さらに、日本人など黄色人種に対する偏見を利用した人種差別政策で、ドイツ皇帝・ヴィルヘルム2世が唱えた「黄禍論」にも強く反発していた。
 真の世界平和の在り方、日本が果たす役割を内外に訴える手法として、後藤が採用したのがミュージカル。後藤が原案を考え、平木白星(本名=照雄、1876―1915)が執筆。平木は旧逓信省職員でありながら、詩人・劇作家の一面を持つ奇才だった。
 物語は、人々を戦いに向かわせようとする「誘惑者」の語りで幕開け。場面が変わり、平和を謳歌する音楽が流れる天上界に、列強国を代表する4人の女性が、万国平和会議の成果を報告する。しかし「誘惑者」の言葉にそそのかされ、次第に自分たちの手柄を言い立て争いになるーーというストーリー。当時の複雑な国際情勢や歴史的背景、風刺の要素をいかにしてミュージカルに仕立てたのかも見所だ。
 同会は「今の世界は、後藤が『鎧を着けた平和』と批判した1世紀以上前の時代と重なっている」と、本作を初上演する意義を強調する。
 入場料は全席自由4000円。午後4時半開場、同5時開演となる。終演後は、俳優の榎木孝明さんらによるシンポジウムも行う。チケット申し込み、問い合わせは藤原書店(電話03・5272・0301)または、同会ホームページへ。
写真=水沢の後藤新平記念館に展示している劇曲『平和』の原本


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