北上市のデザイナー鈴木詠一さん(40)がリノベーション(改修)に取り組む江刺米里字人首町の旧菊池邸で19日、自身が手がけた洋服の展示会が始まった。築99年で洋館風の外観が目を引く旧家屋を、制作拠点やアートギャラリーとして再生する計画。改修を前に市民らでにぎわっており、鈴木さんは「興味があれば気軽に見てもらえたら」と呼びかける。21日まで。
ウールやリネンをはじめとした天然素材のジャケットやシャツ、ズボンなど計60着を展示・販売。建物奥の広々とした日本間や、醸造用のたるが並ぶ土蔵なども公開している。
初日は市内外から多くの人たちが来場。洋服とともに、建物内も興味深げに見て回った。胆沢南都田字糀谷田の佐々木正光さん(66)は「古民家独特の重厚な造りで素晴らしい。建物を大切にする考え方もとてもいい」と感心していた。
鈴木さんは02(平成14)年、外務省に入省。メキシコなどにある日本大使館に勤めたが、デザイナーを志し14年に退官した。ドイツで仕立ての腕を磨き、自身のブランド「Gorsch」(ゴーシュ)を創設。22(令和4)年6月に北上市へUターンした。来月から旧菊池邸近くにアトリエを構えるほか、自身も人首町に住み始めるという。
旧菊池邸は1925(大正14)年に建築。みそ、しょうゆの醸造元や郵便局としても使われた。県道8号に面しており、盛街道の宿場として栄えた往時の雰囲気を漂わせる。
15年ほど空き家となり取り壊される予定だったが、昨年4月、鈴木さんが所有者から買い取った。外壁や屋根など特徴的な意匠を残しながら修繕していく。鈴木さんは「どのようにリノベーションされていくかも見て楽しんでほしい」と話す。
展示会は午前11時から午後5時(最終日は同3時まで)。無料で入場できる。所在地は江刺米里字人首町57。
写真=来場者に洋服を試着してもらう鈴木詠一さん(中央)
岩手県奥州市、金ケ崎町の地域紙。第2回ふるさと新聞アワード(2022)グランプリ & Googleアワード受賞。
当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281