江刺豊田町のパン工房「くろしぇっと」店主の鈴木希さん(34)は、水沢花園町の飲食店「ROYALジャマイ館」を営む石川悦哉さん(56)と共同で開発してきた「恋するカレーパン」シリーズの第3弾「りんごの告白」を商品化した。市内の酒造会社やリンゴ農家などから5人が協力。地元産のリンゴや酒粕を生かした自慢のコラボ商品で、12日から「くろしぇっと」など3店舗で販売する。シリーズの前作までは、カレーパングランプリ(日本カレーパン協会主催)で部門金賞を連続受賞しており、今回は最上位の「最高金賞」を目指す。
純米酒の酒粕をパン生地に練り込み、卵と牛乳を使わずに、ほのかな香りと、もちもちとした食感を得た。石川さんが数十回試作を重ねたカレーは、ジャマイカ産のカカオニブで深みを増したデミグラスソースを使用。大きめにカットしたリンゴと野菜が特長だ。スパイスを効かせつつ、子どもも食べやすい甘口に仕上げた。
リンゴを「隠し味にせず前面に出す」のが商品化の原則。リンゴとカレーの双方を引き立たせるバランスが難しかったという。
その時季のリンゴを加工するため、酸味や食感の微妙な変化も楽しめる。円いパンの上部には、菓子でできた芯と葉っぱを飾り付け、かわいらしくデザインした。
12日から、くろしぇっとのほか、ROYALジャマイ館と小林商店=水沢中町=で、1個320円(税込み)で販売する。
鈴木さんと石川さんのほか、小林商店の小林大祐さん(34)、岩手銘醸=前沢字新町=の及川順也さん(36)、マルタカりんご農園=江刺愛宕=の高橋真樹さん(37)、岩渕ファーム=同=の岩渕世寿人さん(36)、つぶらりんご園=江刺玉里=の菊池一由樹さん(41)もコラボに加わり、食材などを提供。岩渕さんは「コラボをどんどんしながら地元を盛り上げたい」と意気込む。
今回のコラボは、鈴木さんが昨夏、酒造りの工程で酒粕が廃棄されている現状を知ったのがきっかけ。小林さんが及川さんを紹介し、岩手銘醸から酒粕の提供を受けて新たなパンの試作を始めた。
鈴木さんは、旧知のリンゴ農家にも声をかけ、コラボの輪を拡大。「7人のプロの思いと技術を一つのカレーパンに詰め込んだ」と思いを語る。
今回もカレーパングランプリに参加。今月10日から24日にインターネット投票が行われており、結果は7月17日に発表される。
「今度こそ最高金賞を狙いたい」と石川さん。鈴木さんも「地元のみならず、全国の方々に食べてもらい、市の素晴らしさをPRしたい」と意欲を燃やす。
コラボでは、フードロスの観点から、傷付いたリンゴや、廃棄される酒粕を積極的に活用。市版SDGs(エスディージーズ、持続可能な開発目標)のアイコン使用が市に認められている。
写真上=「恋するカレーパン りんごの告白」の商品化にこぎ着けた7人。中央が「くろしぇっと」の鈴木希さん写真下=「恋するカレーパン」シリーズの第3弾「りんごの告白」
岩手県奥州市、金ケ崎町の地域紙。第2回ふるさと新聞アワード(2022)グランプリ & Googleアワード受賞。
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