市は25日夜、市役所江刺総合支所で開いた文化ホール施設再編説明会で、再編ロードマップを公表した。水沢の市文化会館(Zホール)は維持するが、24(令和6)年度末に江刺体育文化会館(ささらホール)、約20年後に前沢ふれあいセンターと胆沢文化創造センターの廃止を検討。3施設は解体し官民連携で跡地活用を考え、Zホールを20年後に建て替える計画を示した。江刺会場の参加者からは、Zホールへの集約に不満の声が上がり、ささらホールの跡地に新たな文化ホールの建設を求める意見が目立った。
説明会は江刺を皮切りに、7月12日まで計4会場で開催。初日は市民58人が集まり、市生涯学習スポーツ課職員が説明した。
市内にはZホール(1992年設置)、ささらホール(69年)、前沢ふれあいセンター(90年)、胆沢文化創造センター(91年)がある。市は施設の老朽化や増大する維持管理費、人口減少などの課題を踏まえ、策定済みの施設再編計画で各文化ホールの維持・廃止方針を明らかにしている。
ロードマップでは、Zホールに大規模な催事を集約し、他施設との複合化なども検討しながら2043年に建て替えるとした。本年度から市直営となった江刺は、10年延長した耐用年数期間が既に過ぎており、利用上の安全性確保が困難なため廃止し、26年度に解体する考え。
前沢と胆沢は地元志向の催事に特化し、耐用年数プラス10年をめどに他施設の機能を活用。前沢は2042年度末、胆沢が43年度末の廃止を検討している。
いずれも解体する計画で、市は跡地活用について「具体的な検討は官民連携の下で取り組む」との考え方を示した。江刺地域に関しては、跡地を中心に据えた地域振興イメージとして市街地開発や子育てを支える環境、芸術文化の醸成などを例示し「複合的な対応が今後求められていく」としている。
同課の千葉学課長は「既存施設を含め、跡地をどう活用するかの検討はこれから。市としては、跡地に新たな施設を建てる決断には至っていない」と述べた。
参加者は「更地にせず、ささらホールに替わる文化ホールの建設を」「Zホールに集約すると施設が足りず、思うように事業ができなくなる」「他市よりも文化施設が多くあることを強みにしたまちづくりをしてみては」などの声が上がった。
「切り捨てられるという思いもあるが、前向きに進んでいかなければ文化は衰退する。先を見据え、全国のモデルになるような新しい使い方を考えてはどうか」「維持管理にお金がかかるし、市で新しい文化施設を建てるのは難しいのではないか」といった意見もあった。
写真=市役所江刺総合支所で始まった市の文化ホール施設再編にかかる説明会
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