岩手県奥州市、金ケ崎町の地域紙。第2回ふるさと新聞アワード(2022)グランプリ & Googleアワード受賞。
胆江日日新聞
pickup : 農村体験 最後の受け入れ 推進協 年内に解散(おうしゅうGT)
投稿者 : tanko 投稿日時: 2023-06-09 09:39:44 (492 ヒット)

 教育旅行や農業体験学習で多くの児童生徒を受け入れてきた「おうしゅうグリーン・ツーリズム推進協議会」(高橋和彦会長、会員39戸)が、年内に解散する。新型コロナウイルス禍で、受け入れ中止が長引き会員農家が大幅に減少。事業運営を安定的に続けるのは困難と判断し、終止符を打つことを決めた。8日には最後の受け入れが行われ、市立東水沢中学校2年生約120人が農家と触れ合い農作業を楽しんでいた。

 同協議会は奥州、平泉2市町の農家で構成。06(平成18)年の市発足を機に衣川、胆沢、前沢の協議会・協会を統括する組織として誕生した。08年度には平泉町、翌年度に水沢と江刺が加入しエリアが拡大。充実した態勢などが評価され、13年に農水省など主催のオーライ!ニッポン大賞グランプリを受賞した。
 同協議会の受け入れの柱だった教育旅行は、関東・関西からの予約やリピーター校も多く年々増加した。受け入れ総数は14年度から一気に3000人台に増え、15年度は3944人と過去最多に。コロナ前の19年度も2100人超が訪れた。
 一方、登録農家数は14年度の181戸をピークに減少が続いた。担い手不足や高齢化などで思うように増えず、コロナ禍での受け入れ中止が大きく響いた。本年度は39戸で、このうち平泉町が12戸。一度に多くの児童生徒を引き受けることが難しくなり、今年3月の協議会総会で解散を決定した。
 最後の受け入れとなった東水沢中は、21年度から農業体験学習を希望していて、今年ようやく実現。市内20農家の元に6ー7人ずつ生徒が訪れ、種まきや作物の収穫、リンゴの摘果などに挑戦した。
 衣川百ケ森の佐々木金男さん(80)宅では、生徒7人が枝豆の種をまいた。くわで畝を作りマルチ資材を張るなど、初めての作業に悪戦苦闘。佐々木さんのくわさばきに、「きれい」「プロだ」と歓声を上げた。
 千葉澪さん(13)は「1列やっただけで疲れた。いつも1人で作業しているなんてすごいと思った」。佐藤翼さん(13)も「何もなかった畑に、畝ができ種がまかれる過程を見られて楽しい」と目を輝かせた。
 奥州のグリーン・ツーリズムは、88(昭和63)年に旧衣川村が神奈川県の高校生を受け入れたのが始まり。佐々木さんは「子どもたちと触れ合うのは、やはりいい。受け入れが多く大変だった時もあったが、寂しい思いもある。コロナで休んだため、気持ちが薄れてしまった人もいるようだ」と受け止める。
 高橋会長(69)=水沢姉体町=は「子どもたちが来るまではいろいろ心配するが、一緒に作業をし喜ぶ姿を見ると元気をもらえる」と笑顔。過去には家族と再訪したり、高橋さんが栽培したリンゴを購入してくれた子もいたという。
 「続けられないか模索したが、登録農家が増えないところにコロナがあり、今までの形を継続できなくなった。広域が強みだったが、農家が減ったことで逆に弱みになってしまった」と話していた。
 同協議会事務局の市農政課などによると、活動の継続を望む農家もいる。市は今後、農家民泊を行いたい人への情報提供や先進地視察といった取り組みを検討していく考え。
写真=佐々木金男さんに教わりながらくわを握る東水沢中生徒たち


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