胆江河川漁業組合(亀梨恒男組合長)が管轄する胆江地区の河川で3日午前5時、アユ漁が解禁された。かつては太公望たちがこぞって釣り糸を垂れる姿が見られた胆沢川や支流の黒沢川、永沢川だが、野鳥のカワウによる食害に加え、雑木の繁茂によって河川敷に入れる場所が減少するなど、環境変化による影響を受けている。同組合は対応に苦慮しながらも、試行錯誤しながら釣りを楽しめる環境づくりに努めている。
解禁初日は朝から雲が立ち込めていたため、釣り人の姿は数えるほどだった。
黒沢川など同組合管轄の河川では、アユの不漁が続いている。原因の一つがカワウの食害。例年、解禁前にアユの稚魚を放流している同組合だが、そのタイミングを見計らうかのように、カワウが飛来して捕食するという。
同様の被害は全国でも散見。釣果に影響するため、釣り人はその川に来なくなり、漁協(組合)の収入源である遊漁券や種アユが売れなくなる。結果、翌年度以降の放流魚の購入や河川環境管理への投資が減るなど、悪循環を引き起こしている。
同組合は今年、カワウを大きな音で追い払う「動物駆逐用煙火」を導入。朝6時と午後4時の2回、アユの放流場所である金ケ崎町の黒沢川せせらぎ公園付近で使用している。担当する組合関係者は、火薬取締法に基づく講習を受けている。
更なる対策として、稚アユではなく成魚に近い12センチ程度のアユを放流。稚アユより動きが速く、カワウに狙われにくいのではと考え、試行した。
アユの放流場所も同公園付近のみとした。以前は胆沢川にも放流していたが、ここ最近、河川敷の木々や雑草が大きく生い茂り、釣り人が川までたどり着けないためという。国や県にも対応を求めたが、何十人もの地権者から承諾を得る必要があるといい、実行に至っていない。高橋文昭副組合長は「高い草木で周囲の見通しが利かなくなるので、クマが潜んでいても気付けない」と困惑する。
亀梨組合長は「これが正解という対策がないので、試行錯誤しながらやるしかないのが現状」と話している。
写真=アユ漁が解禁となった胆江地区の河川。不漁続きだが今年の釣果はいかに=金ケ崎町の黒沢川
岩手県奥州市、金ケ崎町の地域紙。第2回ふるさと新聞アワード(2022)グランプリ & Googleアワード受賞。
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