市は、県内唯一の取り組みである宿泊型産後ケア事業を再開した。週1回1組の受け入れで、県補助金活用により自己負担がゼロになったこともあって希望が多く、既に8月まで予約でいっぱいだ。同じく無料で利用できる日帰り型も7月は予約が埋まっており、核家族化が進む中、需要はますます高まっている。市はスタッフ体制などを含め、産後ケア事業の受け入れ拡充に向けた検討を進める。
宿泊と日帰りを受け入れているのは、総合水沢病院6階の産後ケア「おひさま」。水沢の街並みを一望できる明るい部屋で母子がゆったり過ごし、心身をリフレッシュさせる。助産師が相談に応じるなどして子育てをサポートしている。
2月に第1子の瑠璃ちゃんを出産した水沢の澤口綾乃さんは「初めての経験で、どうしたらよいか分からないことばかり。話を聞いてもらえるだけでも心が楽になる。プロがそばにいてくれると心強い」と笑顔で話す。日帰りも利用したことがあり、授乳の仕方や子どもの体重などを相談。安心して子育てできているという。
市の産後ケア事業は宿泊、日帰り、訪問の3メニューある。市内に住所を有する原則産後5カ月未満の母親と赤ちゃんが対象。宿泊ケアは毎週木曜日午前9時から翌金曜日午後4時までの1泊2日で1回1組、日帰りは平日午前9時ー午後4時で1日1組を受け入れる。訪問は平日の午前9時ー午後4時半に行う。
新型コロナウイルス禍で宿泊、日帰りは一時休止に。人員体制を整え、日帰りは22(令和4)年12月、宿泊が今年6月に再開した。県補助金の活用により同月から、いずれも自己負担ゼロで利用できるようになった。訪問は当初から無料。
同病院の千葉由香利助産師は「ここで自分を取り戻し、また頑張ろうと思えるという人もいる。ほっと一息つける環境をつくってあげることが大事」、坂田タミ子助産師は「核家族が多いので、実家にいるようなアットホームな雰囲気をつくれればと思っている。母親に寄り添い、育児を楽しめる手助けをしていければ」と願う。
4日時点で、宿泊は9月も予約が入ってきており、日帰りは8月ならまだ余裕があるという。
写真=再開した宿泊型産後ケアを利用する母親と赤ちゃん。助産師(左)が育児をサポートする
岩手県奥州市、金ケ崎町の地域紙。第2回ふるさと新聞アワード(2022)グランプリ & Googleアワード受賞。
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