金ケ崎町の第36回おらが村の永岡蘇民祭(同祭実行委員会主催)の本祭は28日、同町の永沢土地改良区駐車場で行われた。呼び物の蘇民袋争奪戦が4年ぶりに再開。裸男たちが激しい肉弾戦を繰り広げ、荒々しい儀礼を通じて地域の安寧や五穀豊穣に祈りを込めた。同町永栄出身で盛岡市在住の会社員工藤政好さん(40)が争奪戦を制し、3度目の取り主に輝いた。
36年前の豪雨被害からの復興を願い始まった永岡地区の蘇民祭。毎年1月の最後の週末に前夜祭と本祭を行い、下帯姿の男衆による蘇民袋争奪戦や水かけ祭で、無病息災や疫病退散などを祈念してきた。
新型コロナウイルス感染症の影響で、ここ数年は護摩焚き法要のみを執り行ってきたが、同実行委(高橋利男委員長)は「護り火を絶やしてはならない」と伝統の継承を誓って通常開催を決定。争奪戦には、地元を中心に北海道や京都府などから31人が参加した。
厄年の男性4人が餅つきを行い、腕を組んだ男衆の一団が「わっしょい、わっしょい」と気勢を上げて会場前を練り歩いた。沿道の見物客が冷水を浴びせると、男衆の体から湯気が出るなど熱気が立ち込めた。
男衆の上に乗った審判長が蘇民袋の中の小間木をまくと、住民らが御利益を得ようと手を伸ばし、会場は活気に満ちた。争奪戦では、男衆が激しいもみ合いになりヒートアップ。蘇民袋の口を離すまいと、歯を食いしばりながら挑んでいた。
16(平成28)年以来の取り主となった工藤さんは「最後まで諦めずに袋をつかめていたので良かった。地域の皆さんと一体となれるお祭りはやっぱり楽しい。厄年だが、健康第一で笑顔あふれる一年にしたい」と決意を新たにした。
写真=4年ぶりの蘇民袋争奪戦が繰り広げられた金ケ崎町の「おらが村の永岡蘇民祭」
岩手県奥州市、金ケ崎町の地域紙。第2回ふるさと新聞アワード(2022)グランプリ & Googleアワード受賞。
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